【前回までの星唄M】
セイレーンに会う為に、目撃情報のあったミザレオ海岸に向かった冒険者。
不思議なことにセイレーンは二体いたという情報もある。
また、ミザレオ海岸といえば、新たな闇の渦も見つかった場所である。
ミザレオ海岸ではテンゼンとの合流は果たせたが、
イロハは何か大きな決意をして渦の先に向かってしまったという。
イロハのあとを追った冒険者たちの前に現れたのはセイレーン。
セイレーンは自らとイロハが消えることを示唆したのだった。

■ 急転直下
セイレーンと話をしていたテンゼンと冒険者は、
そのセイレーンとイロハが「消える」という選択で何かを為そうとしていることを知った。
セイレーンとの会話中にどこかで大きく揺れる音がしたのを頼りに、
後を追う冒険者だった。

無の使者を捕らえているが

(見つけた……!)

そこにいたのはイロハ、そして目撃情報どおりの二体のセイレーン。
さらに三者に捕らわれた無の使者がいた。

今の時代のセイレーン
我ひとりならば、そなたの力の前に、ひとたまりもないが……

未来のセイレーン
我等ふたり、言霊の力も昂まりし……。

イロハ
セイレーンたちよ。
今こそ、我が誓いの念、練り終わりました。
本来ならばこの世に存在せぬもの。
そは、未来から来た私め。


イロハの狙いはセイレーンの「言霊」の力を使って、
自身もろとも無の使者を消そうとしていたのだった。
そして、セイレーンもまた同じ決意を固めていた。

今の時代のセイレーン
後のことは、本来、この時代に存在する者たちに任せよ。

その言葉を聞いたイロハは静かに頷いた。

セイレーンの鈴が揺れる。
三者が祈りをささげると、その願いに呼応するかのようにまた揺れる。
強い祈りには一層大きく揺れた。

イロハの身体からはフェニックスの力なのだろうか、
赤みがかった光が包み始めていた。

今の時代のセイレーン
死を迎えたものは永久に死に絶えよ!

未来のセイレーン
時を超えた者どもを永遠に消し去れ!

イロハ
師匠、おさらばです!

鈴が大きく揺れ、無の使者の上で最期の音を響かせようとしていた。

何かが、セイレーンの鈴を弾き飛ばした。
集中が途切れたイロハ、そして、セイレーンも何事かと動きが止まった。
鈴を弾き飛ばしたのは……テンゼンだった。

怒るイロハ

イロハは明らかに怒った表情でテンゼンに問うた。
なぜ、邪魔をしたのかと。

テンゼンもまたイロハに怒った。
尊い命を捨てるなど以っての外だと。

イロハにはテンゼンや冒険者は甘くみえた。
無の使者を消し去る、絶好の機会を失い、悔しくてたまらなかった。
未来を知る自分からすると、闇の世界に包まれた未来は悲惨で絶望に満ちているのだ。
そうならないようにするために、
その世界を救わんがために、
自分のやるべき事をやっているのだと。それが使命なのだと。

カゲロウ
そのお気持ち、私めにもようくわかりますぞ。

カゲロウは続けた。

カゲロウ
然れども、私めが命を捨てる時は、主君が死すると決まりし時。

うな垂れるイロハにセイレーンが無の使者を消し去ること……というよりも、
自分の存在すらも消し去ろうとすることは諦めたほうが良いと言った。

未来のセイレーン
我にはわかった。
既に、この天晶暦884年よりそなたの傍らに強い絆ができていることが。


そうなのだ。たとえその存在がこの世界には認められていないとしても、
イロハは確かにここに存在し、冒険者たちと共に行動をしている。
そんな彼女との絆が出来ていないはずなどなかった。

全力を持って、言霊を使おうとしたセイレーンに残された力はほとんどなかった。
無の使者への拘束もそう長くは持たなさそうで、早急にこの後のことを決断せよと告げると
二体のセイレーンはともに消えてしまった。

しかし、捕らえている無の使者をどうするべきか相談する間もなく、
現れたのはあのバラモアだった。

バラモア
無の使者ちゃんは、このバラモアがもらっていくよ。

そういうと、いつものように指を鳴らし、そして、無の使者ごと消えていってしまった。
慌てるテンゼンに対し、
白昼夢で既にバラモアを見たことがあるイロハは冷静ではあったものの、
やはり大いなるものセイレーンたちとの共闘で披露していたのであろうか、
身体が大きく揺れ、その場に膝を付いてしまった。

その身を案じたテンゼンはイロハの休める場所に連れて行くといい、
冒険者にセイレーンから託された風切り羽根を手渡した。
あわい翠色のその羽根は、どうやら各地のクリスタルと共鳴することで、
その持ち主を導いてくれるものらしい。


■ 虚ろ晴れし日
テンゼンと別行動をすることになった冒険者は、
ひとまず託された風切り羽根の導きに従い、ホラの岩へと向かった。
その場に行くと、羽根がクリスタルと共鳴を始めるのが分かった。

冒険者がいたのは……そこはアル・タユ。
ヴァナ・ディールの遥か高い地にそこはある場所。
すぐにセルテウスが現れた。

セルテウス(青年)

しかし、そこに現れたセルテウスは、
白昼夢で会った冒険者がよく知るセルテウスではなく、青年のセルテウスだった。

セルテウスに促されて周囲を見てみると、
アル・タユもまた数多くの「無」によって侵食されつつあった。
そのためにセルテウスの存在そのものも不安定になりつつあるらしい。

侵食されつつあるアル・タユ

セルテウス
君とイロハは皆の協力を得て、未来を包む無を止めたいのだろう?

(そのとおりだ。そのためには女神アルタナに会う必要がある)

イロハはとにかく冒険者を「決断の時」に導く必要があることをいつも言っていた。
つまり、そこで冒険者は……間違った選択をした、もしくは
なにかイレギュラーな事態が起こったということなのだろう。

当然セルテウスもそのことは分かっていた。

セルテウス
その結果は、イロハをひとり、醴泉島へ残す未来。
人という存在は、その世界にはイロハひとり……。


そこからイロハは一人……おそらく何度も身を裂かれるような転生を経て、
この時代で「師匠」とめぐり合えたのだ。
ようやく繋がった可能性をイロハだけでなく、冒険者は捨てていなかった。
そして、ここまで力を貸してくれている人々もそれは同様だろう。

セルテウスは確かにこのアル・タユという地が、
女神アルタナの世界と近い場所にあることは認めた。
セルテウス自身も霊獣の力を借りれば、クリスタルの中を通ることが出来るという。

だが、その力をもってしても、
女神アルタナの世界にたどり着くまでの力はないと言った。
そこに行くには、5つに分かたれたクリスタルを一つに戻すほどの
膨大な力が必要らしい。
5つに分かたれたクリスタル……いま冒険者が通ってきたばかりのホラの岩をはじめ、
デムとメア、そしてヴァズ。さらにここアル・タユにあるクリスタル5つのことだ。
それらをひとつにするということは、いわばマザークリスタルをもう一度再構築するのと
同じ意味である。冒険者はその途方もない力の大きさに軽くめまいを覚えた。

(ということは、やはり女神アルタナに会うのは無理なのか)

その答えのひとつとして、セルテウスは「醴泉島に道がある」という言葉を気にしていた。
確かに未来から来たセイレーンがそんな感じのことを言っていた気がする。

「未来」から来たというセイレーンやイロハ、無の使者。
「醴泉島に道」というのは未来での出来事。
このパーツから分かることは未来の醴泉島には、
マザークリスタルに匹敵するようなものが存在するということだ。
だが、それは今はない。

しかし、もともとセルテウスは地上の「虚ろなる闇」を晴らすために、
新たなクリスタルを生み出そうと考えていた。
ただ、それだけの力を一気に生み出すには悪影響だって考えられる。
そこでセルテウスは、冒険者も経験した平行世界に存在するクリスタル
……彼がいうには、過去、未来も含めて沢山存在しているらしいが……から、
少しずつ永い時間をかけてクリスタルの力をわけてもらい、
新たなマザークリスタルを生み出せそうなほどの輝きを集めてきていたのだった。

少しずつ、永い時間をかけて

この計画についてはイロハがやってくるよりもずっと以前より進めていたもの。
いずれはセルテウスが、ひんがしの聖地「醴泉島」でクリスタルを生み出し、
虚ろなる闇を晴らそうとそれを実行していたことは想像に難くないというのだった。

セルテウス
イロハが来ずとも、私は実行していたに違いない。
ひんがしにクリスタルを生み出すという計画を。


つまり、その結果生み出されたものが、
未来でいう「醴泉島にある道」ということなのだろうか。

ただ、ここがイロハの言う「決断の時」なのかは、私にはわからぬ。

静かにセルテウスが目を閉じる。

それは、セルテウスが冒険者の過去を垣間見ているのであろうか、
真っ暗な中にひときわ輝くマザークリスタル。
そのクリスタルが冒険者に語りかけてくる。

母なるクリスタルは何を言う

あなたはクリスタルの戦士。
そしていずれ、光の戦士となる者。
多くの聖なる光を得て、多くの邪悪なる闇を倒す旅をしてきた。
そして、あなたはいつしか戦士の枠を越える。


次に現れたのはイロハだ。
冒険者が未来が滅びる最後の瞬間まで
人々を率いることが出来たのは、数多くの経験があってこそ。
既に多くの邪悪を倒してきてはいるが、
さらに一歩、聖なる光で心を満たす必要がある。

イロハは光にこだわった

イロハ
人々の希望。
最後の希望の光。
師匠。それは師匠と共にある光でございます。


セルテウスの目が開かれた。
ここまで蓄えてきたクリスタルの輝きを使ってしまっていいのか、
その決断についてはイロハに聞いてみたほうが良いだろうとセルテウスは冒険者に言った。

そして、もしそれを実行するというのなら、
手伝って欲しいことがあるという。

ここまでセルテウスが集めてきた力を「タルタロス」という世界に
引っ張りこんで利用しようとしている者がいるらしい。

(バラモアか……)
冒険者はそう考えた。

セルテウス
君が知る限り、もっとも魔力に長けたものに相談してみてくれ。

冒険者の頭にふっとあの高笑いをする姿がよぎる。
……もっとも魔力に長けたもの。

(そんなの、あの人しかいないではないか)

冒険者はそう思いながら、
イロハに今後の相談をするために一路ノーグへと向かうのだった。


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お約束
・ 前提として、全てのミッションをクリア済み(三国ミッションも三国全てクリア済み)の状態でミッションを進めているとお考えください。
・ 登場人物も多いため、人物登場時にできるだけ違和感のない感じで説明を加えるようにしていますが、詳細な設定などについては、あえて省く場合があります。
・ 自身の感想部分については、該当部分をクリア時にメモした当時の感想をまとめています。

前半のイロハやセイレーンの悲壮感漂う流れがあって、
そこからのテンゼンによる阻止によって、
イロハたちが消えてしまうことがなくなってよかったと思いつつも、
本当に無の使者やその上位にあたる敵に
勝つことが出来るのかと思ってしまいました。

セルテウスとのやり取りでは、
「バタフライエフェクト」というとちょっと違うんですが、
自分のやっていることのひとつひとつが未来の何かに
繋がっていることを強調させるような話でしたね。

セルテウスが考えていたのは「虚ろなる闇」の除去。
結果それが恐らく醴泉島にクリスタルを存在させることに繋がり、
さらにそれが醴泉島に最後の瞬間まで残るひとつの理由となりえたことなど、
面白いなぁと思って読み進めていました。
(この部分についてはプロマシアMという下地があればこそのストーリでしたね)

次回はいよいよあの方が登場かな。
オーッホッホッホッホ


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最初から……ヴァナ・ディールの星唄 1

  
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