【前回までの星唄M】
エスカ-ル・オン内部には既に渦が存在していた。その渦を発生させていたのはバラモア。
バラモアは無の使者に命じてこの渦を使って、
セルテウスの集めたクリスタルの力を奪っていたらしい。
渦を消し、力を取り返すためにもセルテウスと協力して冒険者はバラモアを倒した。
これで新たなクリスタルを作る準備は出来た。
セルテウスは冒険者にイロハと共にアル・タユに来て欲しいと言ってその場から立ち去った。

■ 遥かな分岐点

天象の鎖にやってきたイロハと冒険者

イロハと合流した冒険者は、セルテウスの待つアル・タユへ向かった。
かつてプロマシアと戦ったことがある「天象の鎖」と
呼ばれる場所だということに冒険者は気が付いていた。
イロハはここが「神の世界か」と周りをきょろきょろしている。
不意に、宙に光が集まり、そこから大きな羽が生えたセルテウスが現れた。

セルテウス
いいや、違う。ここのまだ半分は人の世界。
故に、君たちも、その姿と心を保っていられる。


イロハ
セルテウス殿。
私めが知る未来では、醴泉島の祠に大きなクリスタルがございました。
あのクリスタルは、貴方様が生み出したものだったのでございますな。


セルテウスは結果的にそういうことになるのだろうとだけ答えた。
これからクリスタルの創造を始めるという。

イロハはどうしても確認しておきたいことがあった。
イロハの知るひんがしのクリスタル誕生の秘密だ。
師匠……つまり、冒険者と父から聞きかじったという、
ひんがしのクリスタル誕生の話。

それは、セルテウスがクリスタルと一体化するということだった。

セルテウス
その通り。私はクリスタルとなる。

自らクリスタルになることを告げるセルテウス

冒険者は息を呑んだ。そして、イロハは分かっていた。
セルテウスが作ろうとするクリスタルなくして、ヴァナ・ディールの未来はない。
だが、それはセルテウスというカタチが消えてしまうことでもある。

セルテウス
いくら、クリスタルの力を集めても、母なるクリスタルを作り出すことは容易ではない。
母なるクリスタルはお互いに繋がりあい、響きあい、人の身体の血や鼓動に似た働きをしている。
これから私が生み出すクリスタルにも、他のクリスタルと共鳴し、命と命を繋げる力が必要だ。


冒険者の持つ勾玉がやわらかく光りだした。
つまり、勾玉は今のセルテウスの決断に賛成しているということだろう。
イロハは本当にそれでいいのかといった表情をしていた。

セルテウス
これは私の望み。

決して消えるわけでないと彼は言った。
クリスタルと一体化しても意識は残るのだと。
イロハは静かに目を閉じる。自分がクリスタルに祈りを捧げていた際に、
目の前にいる人物の気配を確かに感じたことがあることを思い出していた。
それがセルテウスの言う「意識が残る」ということなのだろう。

セルテウス
では、私は行くよ。
ひんがしに……その未来に……光あれ……


大きな羽を羽ばたかせ、高く舞いあがる。
冒険者とイロハが徐々に小さくなってゆく。
ひときわ強い輝きを放ったとき、その光はまるで流れ星のように
クリスタルへと吸い込まれていき、新たなひんがしのクリスタルが生まれた。

クリスタルに!

イロハはひんがしのクリスタルが誕生して以降のことを冒険者に話した。
この先、醴泉島を中心とし、ひんがしの虚ろなる闇が晴れていくということや、
冒険者がイロハの父の頼みで、ひんがしにわたることになること。
そして、そこで都の再建に力を尽くしたこと。
それから、イロハが生まれ、イロハの師匠となったこと。
希望に満ちた毎日。そして、約束された未来。

感無量のイロハ

この未来を紡いでいかなければならない。
本当に大変なのはこの先なのだ。わかってはいる。
それでもイロハは感無量だった。

イロハ
ああ、あの楽しかった数年の未来は、これで確かなものとなったのですな。

冒険者のほうを振り返った。大きく頷く冒険者。

しかし、やわらかく微笑んでいたイロハの表情が変わる。
冒険者の背後にはいつの間にかガルカの姿をした無の使者が立っていた。

無の使者登場

無の使者
ソシテ……数年ノ後……私ガ……生まれル……

仮面の額に埋められた宝石が紅く光りだすと黒い瘴気に包まれた。

ぐにゃり。

無の使者が歪む。
タルタルの姿になり、エルヴァーンの姿になり、ミスラの姿になり、
その姿を次々と変えていく。
そして、その姿が行きついた先は……。

無の使者は冒険者の未来

無の使者
私ハ……<冒険者>……
未来ノ……オマエ、なのだ……


仮面をつけているとはいえ、はっきりと分かった。
これは紛れもなく冒険者自身だ。

無の使者
ヨリ強ク……闇ニ……勝利するタメ……私ガ……生まレタ……

(闇に勝利するため?)

イロハはこのことをある程度予測していたようだった。
この事態を悪夢だといいながら、無の使者に訴えた。
再び、仮面の宝石が光る。
するといつものあの仮面の男が現れた。

イロハ
……貴方様が こちらの師匠の未来のお姿だと言うのならば、
師匠と協力し、闇を晴らさねばならぬはず!!
武器を捨て、その仮面を脱ぎ捨て、我等が元へ……!


イロハが手を差し伸べる。

そうだ、この無の使者は「闇に勝利する」と言っていた。
目的ならば同じではないか。なぜこのようなことになってしまったのだ。

仮面を取ろうとする無の使者だったが、その仮面がはがれない。
その力を封じるかのように宝石が光り、仮面の半分から黒い瘴気があふれてきた。
これは……よくない傾向だ。
なぜそうなったのかはともかく、まずはあの仮面を外させなければならない。

仮面が外せない

無の使者は聖剣エクスカリバーを持ってその場に立っていた。
さらにはプロマシアからも力を吸収しようとしていた。
もう、戦いは避けられない。

直接対決。

イロハ
もう一人の師匠!その仮面を脱ぎ捨ててくだされ!

無の使者
……世界モ……存在モ……自己モ……無意味ナル……シグナル……

無の使者との戦い

冒険者は戦いながら、無の使者は単に何者かから
操られているだけの存在でないことを確信していた。
何か伝えたいことがあるのか、何かの役割を担ってこの場にいるのか、
その事情は分からない。
ただはっきりしているのは、仮面がそれをする妨げになっていることだった。

ついに勝敗は決した。


■ あわい
強い闇の光に包まれている無の使者。
冒険者は駆け寄った。

(仮面をはがさねば!)

無の使者を包む強い力と、冒険者を包む強い力が大きく反発しあい、
大きな衝撃を生み出した。
包まれる光と遠のく意識。自分はどうなってしまったのだろうか。

イロハ
師匠は……私めの……希望……!
消え……ないで……!!!


イロハはフェニックスの力を使った

イロハの声がする。かすかだが姿も見えている。
彼女の指先からフェニックスの力なのだろうか、何かあたたかい光が溢れているのを感じた。
だが、自分はどこかへと落ちてゆく感覚だ。
遠ざかるイロハに手を差し出すものの、それは届かない。

── 暗転。

クリスタルの共鳴が冒険者を襲う……!

『時が巻き戻り……』

大きな、あたたかい光

何者かが光に包まれている。

『時が進み……』

見覚えのない服装

見覚えのない服装。

『時の狭間で……』

だが分かる。それは、

『私と出会えるとは……』

冒険者自身

私<冒険者>だと。

あたたかい光が冒険者の中に息づくのを感じた。

気が付くと冒険者は外で倒れていた。
???
『アルタナに、逢え……』


■ 時の溜り
ノーグへ向かった冒険者。これまでのことを報告しなければならない。
それに、イロハも心配しているだろう。

いつものようにギルガメッシュの部屋に行くと、
案の定心配していたギルガメッシュが大きな声をあげた。
他には……プリッシュとアフマウもいるが、しかし、イロハは見当たらない。

ギルガメッシュはアル・タユで何が起こったか、
夢の中でイロハから聞いたという。
その話によると、どうやら冒険者は一度は屍になってしまったらしい。
それをイロハが蘇生させようとしたが叶わず、
冒険者の身体がみるみる透けて消えてしまったそうだ。
そこで世界中で行方を探していたのだと。

(で、そのイロハは一体どこにいるのか。)

ギルガメッシュの夢の中ではクリスタルの前にいたらしい。
その不思議な雰囲気から判断すると、醴泉島じゃないかという話をしているのだが、
まだ周囲の海は虚ろなる闇に囲まれているために、向かう手段がないのだとか。

だが、ギルガメッシュのもつコネクションを駆使してイロハのことは探していると。

冒険者の無事を喜ぶが、イロハがまだ行方が分からない

ギルガメッシュ
おまえが帰ってきてくれたんだから、未来はまだ明るいってわけだ。

そうだと良いが……。
イロハの行方も気になる。
それに、無の使者……未来の自分がどうなったのかも。

まずはイロハを探す手伝いをしよう。
冒険者は一度、故郷の国に戻ることにした。


第二章 <成長~やがて眠りの唄> 完


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お約束
・ 前提として、全てのミッションをクリア済み(三国ミッションも三国全てクリア済み)の状態でミッションを進めているとお考えください。
・ 登場人物も多いため、人物登場時にできるだけ違和感のない感じで説明を加えるようにしていますが、詳細な設定などについては、あえて省く場合があります。
・ 自身の感想部分については、該当部分をクリア時にメモした当時の感想をまとめています。

ついに二章が終了しました。長かった!
起承転結でいうと、転の途中というところでしょうか。
登場人物も多く、舞台も時には時間さえ超えてヴァナ・ディール中を飛び回り、
本当にこれまで冒険者がたどってきた道をたどらせるような感じで進行しました。

ちなみに、第一章のときと同様に、この二章も各話の最初の文字で
たて読みが仕込まれています。
「みなさまのらぶとじょうねつがあるかぎりう゛ぁなでいるのせかいはえいきゅうにふめつですはあと」
なんだか、これは軽いというかw
今回のたて読みはなんだろうと見ていったとき「え?」って思ってしまいました。

さて、セルテウスがひんがしのクリスタルの核となり、
また、無の使者がなんだったのかというのもはっきりとしました。

無の使者にずっと感じていた「二重人格性」がここではっきりとしたのでスッキリしました。
冒険者に対してどこかツメが甘く、決して襲うことがなかった理由も納得しました。

さて、ここでひとつ、
登場人物を分かりやすくするためにこれまであえて書いてこなかった
「無の使者」の呼び名について書いておこうと思います。
無の使者(仮面の男)にはもともと「ヴォルトオスクーロ」という名前がついています。(星唄5
実はそれ以外にも「Disjoined One」(分かたれし者)という名前で
「遥かな分岐点」から登場しています。

無の使者=ヴォルトオスクーロであり、分かたれし者はまた別人格というか……
そんな感じで考えてもらうと良いと思います。
ただ、文中ではどうしても分かり難いため、「無の使者」で表記を統一しています。

さて、イロハの行方もとても気になるところですが、
次からは第三章……つまり星唄においては最終章です。
私がこのあたりの話を進めていたときは、続きが気になって仕方ありませんでした。
あの話とか、その話とか、どうやってまとめようかなーと今から考えています。


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→ 話のつづき ヴァナ・ディールの星唄18 「叫ぶ闇」から「流るる血」まで
最初から……ヴァナ・ディールの星唄 1

  
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